愛にはレベルが存在するのでは?

「愛している」「愛されている」、雑誌やテレビには毎日のように「愛」が登場している。
大昔から人は愛を求めているのだろう。

対話コンにおいても、愛は良く登場するキーワードです。しかし、対話がかみ合わない話題も愛なのです。
「なんで愛に対する認識が違うのか?」
対話を重ねている内に、特徴や共通点があるように感じました。それは、自愛と他愛、特定と不特定で分類ができるようです。

それを、「愛のレベル」というキーワードで表現をしました。人それぞれに愛のレベルというものが存在していて、同じレベルの人とは何も説明しなくても分かり合えるし、レベルが違う人とは行動や認識、価値観が合わないことが起きているように思えます。

はじめに「愛のレベル」とはどういうものなのか?
愛のレベルには、未認知、条件なしの自愛、条件ありの自愛、特定の他愛、不特定の他愛、という5つの段階があります。

レベル0 未認知
自分を大切にすることができない、愛というものを認識できない、知らない、受け入れられない状態の人です。
心に傷を負った、障害を持っているなど、そもそも愛がわからないことを指しています。
他人を愛することはもちろん、自分自身も愛せないようなレベル、段階のことです。

レベル1 条件なしの自愛
「私が一番美しい(カッコいい)、素晴らしい、優れている!」
「24時間365日、私のことを一番に愛してよ!」
「仕事と私、どっちが大事なの!!」
「私の要望は何でも応えてよ!」
自分が自身のことを愛しているのはもちろん、相手も自分に愛を向けていることが当たり前と思っています。
物心がついていないような子どもが受けるような愛の形であり、自分はなにもしなくても、無条件に愛されるレベルや状態です。

レベル2 条件ありの自愛
「いい子でいるから、やさしくしてほしい、構ってほしい!」
「付き合ってほしいから、言われることに従っていよう!」
「ブランドのバッグをプレゼントしてほしいから、美味しい料理を作っておこう!!」
というような、相手が自分を愛してもらうために何かをする。愛に対して行為の引き換えを行うレベルや状態です。
このレベルにおいては、相手が喜ぶかどうかはあまり意識しておらず、自分が愛されるためになにかすることが優先になっています。

レベル3 特定の他愛
「好きな人が喜ぶ顔を見たいからやっておこう!」
「うちの人が好きなケーキが売っているから買って帰ろう!」
「あの人が元気なさそうだから励ましてあげよう!!」
自分への愛ではなく、特定の相手に向けて愛を与えるレベルや状態です。
何かと引き換えや見返りを求めてではなく、素直にその人に対して愛したい気持ちで行動をします。

レベル4 不特定の他愛
「すべての人が喜ぶようなことをします!」
「あなたが私を裏切っても、私はあなたを許し愛します!」
このレベルの愛はいわゆる博愛であり、すべての人を等しく愛するレベルや状態です。
この愛に限界はなく、たとえ自分を裏切る人、傷つける人、憎悪を抱く相手でさえ愛します。

愛のレベルというのは、その人が位置している愛に対する段階によって、相手との関係性に大きく影響を与えています。
一番はじめは、自分自身を愛することからです。自分への愛がわからなければ、他人に向けられるものが愛なのか、どうかもわかりません。つまり、自分のことを大切にすることができない、優しくすることができないのに、相手のことを大切にしたり、優しくすることはできないのです。
自分を愛することが分かった人は、同様の愛を相手にも求めるようになります。しかし、この時の愛の形には相手を束縛するような要素が含まれている。なので、「毎日そばにいて欲しい(拘束)」「パートナーが私以外の異性と二人で居ることが許せない(嫉妬)」「なんで私のことを一番にしてくれないの(疎外感)」などです。
恋が愛に変わり、パートナーと友好な関係性が構築できると、愛されないという不安感はなくなっていきます。人を愛することが自分を愛することと同一になり、相手の行動を限定したり、自分への見返りのために何かをすることがなくなります。逆に、相手が喜ぶためのことをすることが自分への幸せになります。
相手を喜ばせることを積み重ねていくと、特定の相手ではなく、複数の人に対しても同じように愛を向けることができるようになります。それは、自分のことを愛していない人、自分のことを嫌っているような人だとしても、愛を向けます。

この愛のレベルが違う人と一緒にいるとすぐに違和感を感じるでしょう。
条件なしの愛を向けられると思っている人は、お互いの愛のために何かをすることは思いません。
特定の人と生涯変わらぬ愛を誓うことが当然だと思う人は、不特定の相手を愛せる人のことを浮気だと思うでしょう。
逆に同じレベルの人となら多くを言わなくてもわかり合えます。人から出ている雰囲気からもわかりますが、その人の行動を見るだけで、自分のために愛を語っているのか?相手のために愛を語っているのか?聖人のように全人類を愛しているのかわかります。人は自分と同じ共通点があると関係性を作りやすいので、同じ愛のレベルの人とは理解し合いやすいのです。

愛を続けることでレベルは順番に上がっていきます。逆に愛を注がないとレベルは下がります。
愛のレベルは、自分が愛されることを知る、そして、愛されるために他者との関係性を作っていく。自分に向けられている愛を他人に向けるように変わり、特定の人から不特定の人に広がります。
不特定の人を愛せなくなれば、特定の人をまずは愛せるように意識を向ける方がいいし、他人に愛を向けられないのなら、まずは、自分自身を愛することから始めなければいけないのです。
愛という形は、一度、達成したら永遠に続くものではなく、永遠に続けていくことが愛の特徴としてあるようです。

〔対話コン ~対話で向き合う愛の形~〕一覧へ


〔 哲学対話の依頼・仕事を承ります! 〕
哲学対話の研修や授業・セミナー・ファシリテーター養成講座など幅広くご対応致します。
学校やビジネス・スポーツチーム・各種コミュニティなどで、お気軽にご相談ください。
お問い合わせフォームはこちらより

◆ 対話のイベント&研修 ◆
*対話コン
今までにない哲学対話の手法を使った合コンのような参加者同士が仲良くなる対話のイベントです。
恋愛や結婚など日頃の興味や関心を持っていることについて話し合う"対話"を体験してみませんか。
マッチングなし。年齢制限なし。既婚者や夫婦での参加可。少人数で楽しくアットホームにやっています。
~毎月10日は対話コンで愛を問おう~
第90回 2024年4月28日(日)対話コン〔大阪・天満橋〕
詳細やお申込みはこちらより
第91回 2024年5月12日(日)対話コン〔東京・原宿〕
詳細やお申込みはこちらより

*哲学対話によるコミュニケーション研修
組織の風通しを良くし従業員のやる気やコミュニケーションを活性化させる研修プログラムです。
学校で実績がある哲学対話の手法を使い、考えること、自分の言葉で話すこと、相手の話をしっかり聞くことといったコミュニケーションスキルが身に付きます。
詳細やお申込みはこちらより

● 対話力育成コーチ武のSNS ●
*ホームページ
https://www.co-tk.com/
*Twitter
https://twitter.com/denchi_jp/