南相木おしゃべりコミュニティ

長野県南相木村
県の東に位置する人口1000人の集落

2018年12月3日に「南相木おしゃべりコミュニティ」というイベントを開催してきた。

東京大学の梶谷先生を村に招いてのイベント。場違いな組み合わせである。
ありがたい講義でもするのかと思いきやそうではない。おしゃべりをするらしい。そして、お漬物を持参してご飯を食べるイベントのようだ。

不可解すぎる。

村民たちはおしゃべりをしないのか?
お漬物にどんな関係があるのか?

しかし、これらはすべてが繋がり、社会問題解決、地方創生に至るかもしれない壮大な取り組みなのである。

きっかけは、大人になった子ども達が村に帰ってこない問題が始まった。
地方ではよくある話である。進学するたびに村から離れ都会の学校に進む。そして卒業しても都会で就職し村に帰らない。都市部に人口が集中し、田舎は過疎化していく。そして、限界集落があちらこちらに誕生し、2040年には全国1800市区町村の半分が消滅する予測もある。
南相木村もこのままでは村は消滅するだろう。村にとっては一大事。深刻な死活問題を抱えている。
どうすれば、子ども達が村に帰ってくるのか?また、どうすれば、南相木村に移住してくれるのか?
その問題解決のためにこのプロジェクトはスタートしました。

南相木村の良さや魅力を発掘するのがプロジェクトの命題なのだが、その問題を解決するのは外部に居る私達ではない。
答えは村民達が持っており、村で解決しなくてはいけないことである。

もちろん村には議会が存在しており、様々な決定を下している。けれど、村のことは議員が代表して決めるより、住民の多くが関わって決める方が良いに越したことはない。
しかし、住民がいきなり議論に参加するにはハードルが高い。なぜならば、会議や議論という場では思ったことを自由に話せる場所ではない。そして、お互い知り合った仲であるとはいえ、相手の価値観や大切にしていることなど内面に関して深く知らない。
それで議論しても、立場が上の人か、知識を多く持っている人、声の大きい人の意見に集約してしまい、多様な議論はしにくいのです。

良い話し合いができるようにするには、まずお互いの関係性を作ることがまず必要になる。
お互いの関係性を作るためにおしゃべりをしたり、一緒にご飯を食べるイベントからはじめました。

おしゃべりといっても普段のおしゃべりをする訳ではない。哲学対話という手法を使って、なんでも自由に、そして真面目に話し合うことをします。
対話のルールによって相手のことを深く理解することができ、自然と良い関係が作れるようになります。
そして、ごはんを一緒に食べることは心理学的にもお互いの距離を縮めて親しくなりやすいとされています。

対話では、まず南相木村の好きな所について話が上がった。
「秋の紅葉がきれい。」
「カラマツなど新緑が芽吹くころの鮮やかさが素敵。」
「御座山登山。360度さえぎるもののない景色が良い。今は年取ってもう登れないがまた登りたいと思っている。」
「朝日の後光が美しい。」
「松茸が収穫できる。」
「住民の人柄がいい。誰とでも親しくすることができる。」
「立岩が大黒様に見える。」
「立岩が女性の姿に見えた。」
「立岩をパワースポットにできると思う。」
住民の方それぞれに思入れをお持ちになっていました。
さっと対話をしただけで南相木村の魅力が洗い出せました。
逆に、「村には仕事がない」「奨学金制度が認知されていない」というような問題点も認識することができた。
また、対話だからこそ自己開示がしやすいという側面もあります。
ずっと黙っていた村長が最後にご自身の話をされました。
大人になっても村から離れずに行政にかかわる仕事をしようと思ったきっかけがあったそうです。
「高齢者が病院に向かう途中にぬかるんだ道があったそうです。歩いては渡れず、若き日の村長が担いで運んだそうです。そのことを大変感謝されて、翌日の朝4時にお礼の電話をもらい、その翌日も朝4時に電話をもらって、明け方というのはえらい迷惑だったそうです。でも人から感謝されることに喜びを見出し、行政の仕事に携わり、今では村長までになりました。」
とても距離が縮まるエピソードです。俺はこんなことができる。こういうすごいことをしてきた。という話しではなく、自分の経験談を話すことによって相手への理解が深まります。
私が村の住民だったら、村長に1票入れるでしょう。人と感謝をし合える村づくりをしてくれそうだと期待できるからです。

一見、遠回りのように見える対話をすることによって、ブレインストーミングのような魅力の洗い出しに、相手のことを知る相互理解を構築することにつながる。
哲学対話の効果が現れたと思います。

そして、みんなでごはんを食べる。白いごはんと豚汁、そしてお漬物です。
漬物ですが、作るご家庭によって味が違う。よその漬物を食べる機会がありそうでないので漬物によってコミュニケーションにつながる。
食べて新しい発見もあり、野沢菜漬けがシャキシャキしている。大根の巻漬けとかピーナッツとか知らなかった漬物がある。高級料亭に出しても引けを取らない、3000~4000円するような盛り合わせが振舞われていました。

村の人にとっては当たり前となっている漬物、食べきれない時は捨ててしまうようなものが、他の人にとっては魅力として受け止められます。
この漬物を売り出すのもよいかもしれません。

第一回目の哲学対話としては大成功といえるような開催となりました。
2019年も継続して開催する話となっており、南相木村がどのような発展につながっていくのか共に取り組んでみたいと思います。

最後に南相木村の観光としてダム。南相木ダム。日本で一番標高が高い所にあるダムだそうです。


ダムの斜壁でモデルポーズの恥ずかしい姿を撮られてしまった出張となりました。


── 哲学対話の依頼・仕事を承ります! ──
哲学対話の授業・イベント・研修・セミナー・ファシリテーター養成講座など幅広くご対応致します。
学校(小学校・中学校・高等学校・大学)や企業・NPO・スポーツチーム・大小様々なコミュニティにご対応致します。
各種SNS、もしくは、問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
お問い合わせフォームはこちらより

◆◆ 対話のイベント&研修 ◆◆
────────────────────────
*対話コン
今までにない哲学対話の手法を使った合コンのような参加者同士が仲良くなる対話のイベントです。
恋愛や結婚など日頃の興味や関心を持っていることについて話し合う"対話"を体験してみませんか。少人数で楽しくアットホームにやっています。
第31回 2018年1月19日(土)〔渋谷〕
詳細やお申込みはこちらより

*組織活性化研修
組織の風通しを良くし従業員のやる気やコミュニケーションを活性化させる研修プログラムです。
学校・教育現場で実績がある哲学対話の手法を使い、問いを持つこと、自分の言葉で考えて話すこと、相手の話をじっくり聞くことを通じて、従業員が自主性を持ち、組織の活動を前向きに取り組むようになります。
詳細やお申込みはこちらより

●● 対話力育成コーチ武のSNS ●●
────────────────────────
*ホームページ
http://www.co-tk.com/
*Twitter
https://twitter.com/denchi_jp/
*Facebook
https://www.facebook.com/denchi.jp
*Instagram
https://www.instagram.com/denchi.jp/