コミュ障の自分がなぜ対話力育成コーチを目指したのか?

私は対話力育成コーチという肩書を掲げて活動していますが、元々コミュニケーションや人間関係は嫌でした。
そんな人間がどうして180度反対になるようなことになったのか晒しちゃいます。

まずは、私の幼少期から説明しないといけないでしょう。
小さいころから父子家庭で育ったため、記憶にある時からすでにコミュニケーションを取る相手は父だけでした。
学校に行き始めた時でも鍵っ子で、誰もいない自宅に帰る日々。家で話す人はいなく、友達の家に毎日遊びに行くわけにもいかず、テレビを見たりゲームをずっとやっているような子どもでした。
そもそも人と触れ合う機会が限られていて、どうしても社交性は身につかない環境で大きくなっていきます。

今でも、ペラペラ話す方ではないし、社交性か高いとは思っていません。

就職するときも人とのコミュニケーションが必要ない、コンピュータのソフトウェア開発を選びました。
パソコンに向かって作業するだけなので、コミュニケーション能力がなくても大丈夫だと思ったのです。

プログラミングを行う毎日はある面ではストレスがない状態だったと思います。
しかし、コミュニケーション能力がないため、上司とはうまく行かないことがあり、「武君は扱いにくい」と言われるような人間でした。

外部とのつながりを減らしてプログラムの仕事をしていると、思わぬ弊害もありました。
自信を持って作ったソフトが、喜ばれていないのです。
自分が良いと思って作りこんだ内容で、凝ったことや難しいことができる機能でなく、ボタンの大きさを変えるとか、色使いを変えるといったシンプルでわかりやすいことが求められることがありました。
ちゃんと相手に欲しいものを聞いて、望むものを作らないといけないと思ったのです。
プログラムだけをやっている世界ではなく、私はお客様と関係を持てるシステムエンジニアの方にシフトしました。

システムエンジニアの立場で、お客様が要望されていることをうかがって、システムを作り上げる。
そうすることによって、プログラマだけの立場より良い仕事ができるようになりました。
当たり前の話かもしれません、自分の世界だけで仕事しているのではなく、相手とコミュニケーションを取って仕事する方が喜ばれる。
だけど、予期せぬ壁がまた、私の前に現れました。
商談相手、つまり発注した担当者が満足していても、実際にシステムを使う従業員ではまだ使いにくいことがあった。
導入説明(操作説明)で従業員に説明したら、わかりにくい、使いにくいと言われた。
同じ会社の人でも立場や担当が違うことでミスマッチが存在する。現場の人は自分たちの要望を伝えられない。相手の会社内での意思疎通不足が影響されると感じました。
実際に使う人のレベルからヒアリングしないと良いものは作れない。ならば、実際の現場レベルで働いていれば何を望まれているのかわかるはずだ。そう思った私はコンピュータ業界から食品業界に転職をしました。

冷凍食品の製造工場、トラックの流通、倉庫で保管、お店に納品し、コンビニ・スーパー様のご本部に営業と商談を行っていました。
そこでわかったことは複雑に絡み合う利害関係。多くの会社が関わっているから、あちらを立てればこちらが立たず、そういう中で仕事は進んでいきます。
交渉や会議で決まるよりは、お互いの力関係、お金を支払う側で物事が決まります。
お金をもらう側は立場が弱い。どうして弱いかというと、揉めたときにお金が支払われないことが起きるからです。
自分の会社の利益を最優先されるのがビジネスなので致し方ない側面があるとは思っています。
でも、これで幸せなのか?という疑問が沸いてきました。

その中で「対話」という活動を知り、ビジネスで行われているアプローチとは異なり、コミュニケーションの基礎が含まれていることに魅力を感じました。

ビジネスでは短い期間の内に結果や結論、効率を求められます。対話は自分のペースで知的探求を深めていく。
ビジネスでは自分たちの利益や主張が優先されます。対話は相手のことを理解しようとします。
ビジネスでは討論がうまい人が優遇されます。対話では何も話さなくても優劣はありません。

そして、コミュニケーションの大原則は相手の話をじっくり聞くことです。
しかし、相手が話をしている最中に、自分が言いたいことを考えていたり、話に割って入ったり、最後まで相手の話を聞くことができていません。
それを、対話の場ではルールを設けて上手に話し合えるようにしています。

コミュニケーション不足によって、やる気がなくなったり、お互いの認識や理解が違っていたり、派生して問題が起きます。
自分ひとりだけではいい仕事はできない。自分と相手だけでもいい仕事はできない。自分と相手の先にいる関係者やお取引先様を含めて仕事をする必要がある。お取引先様も多く存在しているため、複雑に絡みあう利害を調整する必要があると痛感しました。
結局、コミュニケーションを抜きに今の社会では良いものが作れないということです。

それならば、自分の体験を伝えるため、対話することのメリットを伝えるために、活動することにしたのです。

最近知り合う方からは、「コミュニケーションが下手だと思わない」というお言葉を頂いております。
でも、元々は違っていました。それが、対話をすることによって改善していくようです。

人それぞれに価値観が異なる時代で、利害も違う中、お互いに理解し合うことも対話を通じて身につけなくてはいけないスキルです。

私は色々な壁に突き当たって、右往左往しながら、気が付けば苦手なことを職業にするようになりました。
そんな人生を送る人もここに居るのです。


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